Fukuyama Topics
2026.08.27
経営・マネジメント
社員10人未満の中小企業社長の仕事
「社長は現場に出ていてはいけない」「社長が現場を離れなければ社員は育たない」。
経営者同士の会話やビジネス書、セミナーなどで、こうした言葉を耳にすることがあります。確かに、会社が成長していくためには、いつまでも社長一人に仕事が集中する状態から脱却し、社員に仕事を任せていくことが必要です。
しかし、それはすべての会社に、すべてのタイミングで当てはまる話ではありません。
実際には、まだ社長が現場に出るべき段階であるにもかかわらず、「経営者は現場を離れるべき」という言葉をそのまま受け取り、業績が落ち、利益が出ずに苦しんでいる企業も見受けられます。
社員数が10人未満の中小企業では、社長はまさに「一人五役」を担う存在です。
経営者として会社の舵取りをし、経理担当として資金繰りや財務を管理する。自ら先頭に立つトップセールスであり、現場では段取りや協力業者との調整を行う現場監督でもあります。そして必要であれば、経験豊富なベテラン職人として自ら実務にも入る。
小規模な会社では、これらの役割を社長自身が担うことで事業が成り立っているケースが少なくありません。
一方、社員数が20人、30人と増えてくれば、少しずつ役割を分担できるようになります。
現場作業を社員に任せ、経理担当者を置き、幹部社員に現場管理を任せる。さらに営業組織をつくることで、それまで社長が担っていた仕事を組織として回せるようになります。
そこで初めて、社長が現場から離れ、経営に専念できる体制が整ってくるのです。
「社長が現場を離れなければ社員は育たない」という考え方には、私も賛成です。
ただし、大切なのは「今の会社に、社長が現場を離れられるだけの体制ができているか」ということです。
限られた人数で現場を回している会社で、社長一人分の仕事をそのまま社員に背負わせれば、一人ひとりの負担は一気に増えます。
それでは社員を育てるどころか、生産性や品質の低下を招き、場合によっては社員の離職につながる可能性もあります。
社長が現場を離れること自体が、会社の成長なのではありません。
社長が抜けても仕事が回る組織をつくることが、会社の成長です。
社員数が少ない段階では、社長自身が現場に出て、しっかり動いてください。
そして社員が増え、人が育ち、仕事を任せられる体制ができてきたら、社長の現場業務を一つずつ手放していく。
会社の成長段階に合わせて、社長自身の仕事も変えていくことが大切です。
